結局「DEI」とは何なのか

マネジメントスキル

振り返り

少し前にダイバーシティに関する5年前の自分の考えを振り返って以降、改めて「ダイバーシティ」・「DEI」とは何なのかと、ちょこちょこ自問自答しています。

「ダイバーシティ」・「DEI」の本来の意味は前に触れたので、そちらに譲るとして。

管理職とワーママの対立

最も私に関係してくるDEIの課題は、子育て世代の女性スタッフの働き方。

今年度(2025年度)の10月から施行される改正育児・介護休業法への対応について、リハビリテーション部ではどのように対応するかを検討していく予定です。

これがまた、かなり紛糾しそうで・・・。会議が地獄絵図にならないようにファシリテートすべく、ChatGPTに情報収集や頭の整理を手伝ってもらいました。

なんでまた紛糾しそうなのかというと、会議に参加する管理職のおそらく半数近くが、「ワーママ」へ批判的な見解を持っているから。恥ずかしながら我がリハ部では、管理職(一部)とワーママ(一部)の対立構造ができあがってしまっているのです。

ちなみにこの「ワーママ」という言葉、私は好きではありません。だからプライベートでも仕事でも、極力使わないようにしています。

これについては余談になるので、また別の機会に。

本題に戻って・・・。

ワーママと管理職の対立構造。

その最も大きな要因は、「お互い様精神」の欠如ではないかなと思っています。

ワーママは、「時短だからできません。」と言って仕事は受けず、フォローしてくれている周囲のスタッフへの感謝もあまりない。また「管理職は理解してくれない。」と徒党を組んで、上司を批判する。

管理職は、「時短でも、どうやったらやれるかを考えていない。」、「時間を与えているにもかかわらず、できないのは個人の能力の問題だ。」、「彼女らは優遇されているのが当然だと思っている。」と言って突っぱねる。

10年ちょっと前に育休復帰支援プロジェクトを立ち上げた頃は、そんなことはなかったのですが。いつからこんなことになってしまったのか。

使い物にならない若手

あまりいい表現ではありませんが、「使い物にならない若手」って一定数いませんか?

子育て世代の女性スタッフ問題の次に私が直面しているのは、「使い物にならない若手」。

リハビリテーション専門職は国家資格なので、試験に合格すれば医師の指示の下で患者さんを治療することができます。

とは言え、国家試験は「最低限の知識」を問うものでしかないので、資格を持っていれば新卒でも無条件に患者さんを触らせるかと言うと、我々はそんなことは絶対にしません。

一定以上の業務遂行能力がなければ、担当患者は持たせません。

ただ「一定以上」も、あまり高いものを求めてはいません。高すぎるといつまで経っても新卒採用者が独り立ちできないからです。

ですので、当リハ部は本当に最低ラインしか求めていないのですが、何度教えても達成できないという若手(新卒)が2年に一人くらいいます。

時々、散々教えていることなのに「教えてもらっていません。」と言ったり、リスク等を確認せずに「大丈夫だと思ってやりました。」と言ったり。

挙句の果てには「どんなスタッフでも仕事ができるようにするのが教育担当の仕事なのだから、私ができるようにならないのは担当者の問題です。」なんて言う人もいたり(これは若手ではありませんでしたが)。

このような人たちを私たち管理職は、どのように扱えばいいのでしょうか。

これを受け入れるのもDEIなのでしょうか?

DEIを隠れ蓑にする

個人的な経験則ですが、一部のワーママや使い物にならない若手、またその他の「難しい人たち」は、DEIを隠れ蓑にしているという感覚が私にはあります。

いや、ちょっと違うかな。

本人が積極的に隠れ蓑にしているというよりは、管理職が自らDEIの旗の下に彼らを隠してしまっているという方が近い表現なのかもしれません。

DEIを意識しているがゆえに、結果的に自分たちの首を絞めているという感じ。

おそらくDEIをしっかり理解できていないから、間違ったマネジメントをしてしまっているのだと思います、私も含めて。

そこに加えて「逆差別」という感覚も台頭しているため、トランプ大統領はDEI政策をストップさせているんですよね。

DEIはイノベーションの源泉

イノベーションは「技術革新」と日本語に訳されていますが、それは本来の意味の一部に過ぎないそうです。

イノベーションの概念を最初に提唱したのは、オーストリア出身の経済学者ヨーゼフ・シュンペーターだと言われていますが、彼の著書の中に「イノベーション」という単語は出てきていないそうです。

彼は著書の中で、「新しい結合(Neue Kombination)を実現することが経済発展の本質であり、これを担うのが企業者(Entrepreneur)である。」と書いているそう。

その後、英訳で「イノベーション」という言葉が一般化したらしいです。

ちょっと話がズレれましたが・・・。

イノベーションは、既存のモノやコトを新しく組み合わせ、社会に新たな価値や変化をもたらすことです。ゼロから何かを生み出すというよりも、「今あるものをどう組み合わせ直すか」に本質があると言われています。

そしてそれは、DEIが整った環境で多く生まれると言われています。

一方で、DEIが常にポジティブな効果をもたらすわけではないとも言われています。

ある研究によると、多様性のある組織では、情報処理や意思決定の面で利点がある一方で、社会的アイデンティティの違いから内外集団の分断が生じ、パフォーマンスが阻害される可能性もあると指摘されているとのこと。

我が組織では、ポジティブ効果よりもネガティブ効果が顕著になってしまっているようです。

やはり、「お互い様精神」は重要ですよね。

そしてお互いに尊重し合うことです。

結局DEIとは

結局、「DEI」って何なんでしょうか。

定義こそあれ、今はまだ世界がその答えを明確に出せていない気がします。

お互いの人権を尊重し合うのは、ごくごく普通のことのはずなのに、今はとんでもなく難しい。

これから何年もかけて、前進したり後退したり、破壊したり再生したりしながら、人類は最適解を探していくんだと思います。

ひとまず当リハ部のDEIは、育児・介護休業法をきっかけとして、「お互い様精神」の醸成を図るところからやり直したいと思います。

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