失敗すると分かっているプロジェクトの軌道修正ができない

マネジメントスキル

私が所属しているリハビリテーション部では、常にいくつかの大小さまざまなプロジェクトが進行しています。

その中のひとつが「合同サマリーのフォーマット作成」。

ここで言う「サマリー」とは「リハビリテーションサマリー」の略で、患者さんのリハビリテーションに関する情報を、介護支援専門員やリハビリテーション専門職等に提供するための書類を指します。「リハビリテーション経過報告書」と言ったりもします。病院によって名称は様々かもしれません。

そして合同サマリーの「合同」とは、リハビリテーション専門職の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が、同じフォーマットに情報を入れていく、合体させる、ということを指しています。

合同にすることになった理由としては、これまでの作成方法(各職種で別々に作成していた)やフォーマット自体に、以下の問題点があったためです。

実際には問題点以外にも理由はありますが、本筋には関係ないので一旦置いておきます。

  • 情報の重複:患者さんの現病歴や既往歴等の情報が各職種のサマリーに記載されているため、単純に無駄であるということ。
  • 情報の相違:情報の重複から派生する問題で、本来であれば同じ情報が入っているべき欄に、理学療法士と作業療法士で違う情報が記載されており、どちらが正しいのかが分からないというもの。例えば車椅子とベッドの乗り移りに関して、理学療法士は「自立(完全に一人でできるということ)」、作業療法士は「見守り(一人でできるけれど完璧ではないため、誰かが見守る必要があるということ)」と記載している、といった感じ。これには別の問題も多く絡んでいますが、ここでは触れないこととします。
  • 作成者・指導者による差:これまでは各フォーマットにフリー記載欄が多かったため、作成者やそれを指導する者の考え方や好み、力量によって、記載される情報に差が出ることがあったということ。
  • 情報の実用性:上記の問題点から派生するもの。情報に差があるということは、サマリーを受け取る側にとって、それが実用性に乏しいものである可能性があるということ。もしもそのようなサマリーを介護支援専門員が受け取った場合、ケアプラン(介護サービス計画書)を作成するのに支障をきたします。
  • 業務負担:フリー記載欄が多く、情報を打ち込む労力が必要であったため、業務負担につながっていたということ。

さて、ここからやっと本題。

とにかくこのプロジェクト、全然上手くいっていないんです。

上手くいっていないどころか、パイロット版フォーマットの完成後、関係各所から不満が湧き水のようにどんどん出てきています。

プロジェクトを任された理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の3名からも、ネガティブなコメントしか出てきません。

そして一様に口をそろえて、「ゴールが見えない。そもそも何を求められているのかが分からない。」と言います。

上司(課長)からプロジェクトを任された際の説明は、「これからは合同サマリーにするから、フォーマットを考えて。自由に決めていいよ。」程度のものだったと。

これまでのやり方の問題点(上記のもの)すら彼らは把握しておらず。

そりゃ、上手くいかないよ。

なぜ、どのような経緯でそれが立ち上がったのか、これまでの問題点は何だったのか、何をどのような方向性で作っていくのか、といった明確な方針や目的、目標といったものを提示しないプロジェクトは、99%失敗します。

とんでもなく優秀な人は、その辺も汲み取ったうえで凄いものを作り出すかもしれませんが、そんなのは極めて稀です。

巨大な迷路でゴールの方向を教えてもらえないどころか、渡された地図も真っ白だったら、絶対にゴールにたどり着けないですよね。

ここ数か月、そんな状況に放り込まれている後輩3名が不憫でならない。

スタート直後から怪しさ満点のプロジェクトだったため、早々に私にできうる様々な支援をしてきましたが、結局崩壊寸前のところまで来てしまっています。

なぜなら、私が本当にやるべきことをやっていないから。

必要なのは後輩支援ではなく、課長への進言。

課長への進言・・・。

この課長、5名いる課長の中で1番話がしづらい人なんだよな・・・。

ここで必要なマネジメントスキルは、コンフリクトマネジメント、ボスマネジメント辺りでしょうか。きっと他のスキルも総動員しないと、後輩らを救助できないのだろうと思います。

次回の管理職会議で私から進言するのもひとつかもしれませんが、その前に他の管理職にも情報を共有しておくのが得策でしょうか。あわよくば、私より上の管理職から問題提起してもらえるかもしれないですしね。

時短・残業ゼロ設定スタッフの業務負担問題と合同サマリー問題、いずれも私にはかなり荷が重い。

あまりの荷重で膝がガクガクいってるのを武者震いであるということにして、この状況を良い方向へもっていく努力をしたいと思います。

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