トランプ2.0に関連するニュースが連日報道されていますね。
少し前に「DEIが後退」というニュースを目にして、保守がリベラルをぶん殴りにいっているのだということはよく分かりましたが、「DEI」を全く知らず、ちょっと焦る。
ということで、すぐさま調べました。
「DEI」とは、「Diversity(多様性),Equity(公平性),Inclusion(包括性・包摂性)」だそうです。
なるほど、数年前からダイバーシティが急に目につくようになっていたけれど、それはDEIの文脈から来ていた言葉だったのね。ちなみにDEIの前は、「D&I(Diversity and Inclusion)だったそう。
「平等(Equality)と公平性(Equity)の違い」の図をネットでよく見かけたのは、「D&Iの次はDEIですよ~。」というのが出回っていたタイミングだったからなのか。
全体像を知らず、お恥ずかしい限りで。

経済産業省 経済社会政策室 https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/01_siryo.pdf
そしてトランプ大統領は、その多様性・公平性・包括性を否定していると。
はて、どうした。大丈夫か。
調べてみると、理由のひとつとして「逆差別」という言葉がありました。
コレ、正直なところ、私は一部賛同。
私が子供の頃は、女性の社会進出の潮流が強くなってきた時期だったので、
男女雇用機会均等!
女性の社会進出を!
女性!
女性!
女性!
と声高に叫ぶ政治家やフェミニストの方々をテレビでよく見かけていました。
その方々は、女性の社会進出のメリットというか、女性の良さを押し出した主張ももちろんしていたのでしょうが、どちらかというと男性を悪者扱いしていた印象があり、子供ながらに違和感を覚えていた記憶があります。
また商業施設でも女性を呼び込むために、レディースデーが積極的に設けられていた時期でもありました。メンズデーなんてものは、当時はもちろんありません。
そんな影響もあり、「これって逆に差別じゃない?」と不思議に思っていました(レディースデーの恩恵は享受しつつ)。
だから、過度なDEIは逆差別であるという主張には一部納得。
DEIが不要であるとか悪いものであるとかでは一切なく、むしろ重要な考え方だと思います。
しかしながら、無理矢理に多様性を作ろうとする、多様性の数値目標を達成することに重きを置くことは、どこかしらで歪みを生むことになるのかなと。
そしてDEIと数値目標と言えば、日本の企業における女性管理職の割合について。
2024年のジェンダー・ギャップ指数において、日本は118位/148ヵ国だそうで。
G7の中では最下位とのこと。
これも散々ニュースになっていましたが、どうも実感がわかず。生活していて、そんなに男女間の不平等を感じていないから。あなたは恵まれた環境にお住まいなんですね、と言われてしまえばそれまでですが。
本当に日本って、そんなに男女不平等の遅れた国なの?
ということで、ジェンダー・ギャップ指数の中身をちゃんと確認してみました。

ほうほう。健康と教育については高い水準だけど、経済参画と政治参画が低いわけね。経済参画も低いとは言っても概ね平均値。
おそらく、私の日常生活での感覚と報道の差はココかなと。
政治参画がとにかく異常に低いけど、他は悪くないじゃん。日本、そんなにヤバくなくない?各種報道、煽りすぎじゃない?というのが率直な感想です。
とはいえ、日本が国際社会から後れを取っているのは事実。
日本政府は「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2024(女性版骨太の方針 2024)」にて、
プライム市場上場企業を対象として、「2030 年までに、女性役員の比率を30%以上とすることを目指す」、「2025 年を目途に、女性役員を1名以上選任するよう努める」などの目標を掲げ、また、その中間的な目標として(一部省略)「第5次男女共同参画基本計画」における2025年までの新しい成果目標として、「東証プライム市場上場企業役員に占める女性の割合」を19%とすること等を決定したところである。
引用:女性活躍・男女共同参画の重点方針 2024(女性版骨太の方針 2024)https://www.gender.go.jp/policy/sokushin/pdf/sokushin/jyuten2024_honbun.pdf
と言っています。
数値目標は分かった。
けど、女性管理職を増やすべき理由とは何でしょうか。

内閣府の資料には、「女性の活躍推進が進む企業ほど経営指標が良い」と書いてあります。
世界では、女性役員比率が高い企業の方が、ROE、ROS、ROICなどの経営指標が良い傾向。
日本でも、女性の活躍推進に取り組んでいる企業(均等推進企業表彰企業)は、株式パフォーマンスがTOPIX平均を上回る水準で安定して上昇する傾向。
だから企業戦略として、積極的に女性躍進を推進し、女性管理職を増やしていきましょう。日本全体の生産性を上げていきましょう、ということですね。
でもこれって本当でしょうか。逆の見方はできませんかね。
- 経営指標がいい傾向にある企業は、女性役員比率を高めることができる。
- 株式パフォーマンスがTOPIX平均を上回る水準で安定して上昇する傾向にある企業は、女性の活躍推進に取り組むことができる。
要は、安定した企業だからDEIの一部である「女性の躍進」に寄与できるのではないかと。もうちょっと言うと、中小零細企業には、女性躍進だDEIだ、なんて言う余裕はないのではと。
これに関する研究論文やそのほかの資料を読み込めば、もしかしたらその可能性を否定できるのかもしれませんが、今の私にはそうも読めてしまいます。
だから、是が非でも女性管理職を30%以上に引き上げるぞ、と躍起になる必要はないのではと。
本当に優秀な女性が、女だからという理由だけで管理職に登用されないのは問題です。
しかしながら、数値目標の達成のために優秀な男性を差し置いて、いわゆる「下駄を履かせた」女性を先に管理職に据えるというのも違いますよね。
トランプ大統領も、そのことを言っているのでは。
まとまらなくなってきましたが・・・まとめです。
日本がジェンダー・ギャップがとんでもない、男女不平等の国だと言い切るのは違うかもしれない。
でも経済参画と政治参画は、国際社会よりも遅れ気味なのは事実。
下っ端管理職でも何かできることはないか、模索したいところ。
ただし、数値目標を追うだけでは意味がないどころか、反感を買うことになりそう。本来の意味でのDEIを推進したいものですよね。
また、データは疑ってかかる必要はあると思います。
政府がそう言っているから、みんながそう解釈しているからとすぐに信用すると、変な方向に進まされる(騙される)可能性があります。
この投稿を書いているまさに今日、職場の後輩から、時短・残業ゼロ設定の女性スタッフが時間通りに帰宅できない、リーダー業務がこなせないといったことについて相談を受けたところでした。
これについてはしばらく悩むことになりそうです。
アイデアがある程度溜まってきたら、頭の整理のためにここに書いていきたいと思います。
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