当ブログのタイトルにもなっている「ワーク・ライフ・インテグレーション」について書く前に、「ワーク・ライフ・バランス」について書いていこうと思います。
ワーク・ライフ・バランスの定義は、内閣府によると以下のようになっています。
「憲章」では、仕事と生活の調和が実現した社会は、
「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」
とされ、具体的には
(1)就労による経済的自立が可能な社会
経済的自立を必要とする者、とりわけ若者がいきいきと働くことができ、かつ、経済的に自立可能な働き方ができ、結婚や子育てに関する希望の実現などに向けて、暮らしの経済的基盤が確保できる。(2)健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
働く人々の健康が保持され、家族・友人などとの充実した時間、自己啓発や地域活動への参加のための時間などを持てる豊かな生活ができる。(3)多様な働き方・生き方が選択できる社会
性や年齢などにかかわらず、誰もが自らの意欲と能力を持って様々な働き方や生き方に挑戦できる機会が提供されており、子育てや親の介護が必要な時期など個人の置かれた状況に応じて多様で柔軟な働き方が選択でき、しかも公正な処遇が確保されている。とされています。
内閣府「仕事と生活の調和」推進サイト https://wwwa.cao.go.jp/wlb/towa/definition.html
上記以外にも、以下のような様々な場で検討された定義が記載されています。
- 男女共同参画会議 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会
- 「子供と家族を応援する日本」重点戦略検討会議
- 経済財政諮問会議労働市場改革専門調査会
- 厚生労働省 男性が育児参加できるワーク・ライフ・バランス推進協議会
また引用元の冒頭にあった「憲章」とは、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」を指します。
これは平成19年に関係閣僚、経済界・労働界・地方公共団体の代表等からなる「官民トップ会議」において策定されたもので、
〔いま何故仕事と生活の調和が必要なのか〕
〔仕事と生活の調和が実現した社会の姿〕
〔関係者が果たすべき役割〕
と項目立てて説明がなされています。
ちなみに余談ですが「憲章」とは、
重要で根本的なことを定めた取り決め。特に、基本的な方針や施策などをうたった宣言書や協約。
goo辞書 https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E6%86%B2%E7%AB%A0/
という意味だそうです。
本題に戻ります。
政府は憲章の中で、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」と言っているんですよね。
あくまでも「調和」であって「バランス」を推しているわけではありません。
調和とバランスは類義語ではありますが、ニュアンスは違います。それぞれの類義語である「協調」と「均衡」を対比させるとそれが引き立ちますかね。
だからワーク・ライフ・バランスは、仕事と生活のバランスをとるということではありません。
私が5年ほど前にマネジメントスキル勉強会の資料作成のためにインターネットで「ワーク・ライフ・バランスとは」と検索した時には、「仕事と生活を別のものととらえ、両者のバランスをとること」といった説明がほとんどでした。
今はそのような記載は少なく、どこも「調和」を内包した解説をしています。ここ数年で、本当の「ワーク・ライフ・バランス」の意味が浸透してきているのかなと感じています。
ただし「ワーク・ライフ・バランスとワーク・ライフ・インテグレーションの違い」で検索して出てくる解説文においては、誤解を含んだ定義づけがされている場合が多いように見えます。
このような検索だけで得た情報で理解しようとすると、勘違いしてしまうかもしれませんね。
まとめです。
ワーク・ライフ・バランスとは、仕事と生活の調和を目指すことであり、決して両者のバランスをとろうとすることではない。
調和のために何をすべきか、あるいは何をすべきでないか。
今後も学んでいく必要がありますね。
コメント